2024 11,22 16:58 |
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
|
2010 11,07 21:33 |
|
唐突ですが、通称ストパンと呼ばれるアニメをご存知でしょうか
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」のあれです 男性向けのネタアニメかと思われがちですが、真面目に手の混んでる部分があったりもする、 制作側のこだわりが透けて見えるアニメです 主人公たちは通称魔女(ウィッチ)と呼ばれ、自身の魔法力を活かして謎の外敵ネウロイと戦う、といった内容です この世界と似ているようで微妙に違う世界観で、世界地図は同じですが、国の呼ばれ方は微妙に違います イギリス→ブリタニア フランス→ガリア など対して変わってない気もします そして時代は1940年代半ば つまり、WW2のあたりです どうしてその時代なのでしょうか? 何故なら、主人公たちのモデルはWW2やWW1で活躍したエースパイロットだからです 各キャラクターは空を飛ぶために脚部に「ストライカーユニット」と呼ばれる、 魔法を動力に変換する機械を身につけています そのストライカーユニットとはキャラクター毎によって違い、 その名称はモデルとなった人物が乗っていた戦闘機由来です なので日本人をモデルにしたキャラクターのユニットには零式や紫電改、震雷という名が付いています 主人公たちがストライカーユニットを装備して、離陸する際には実際の飛行音をサンプリングしたものや、 銃器も実在するものを使用していて、その射撃音もこれまた実際のものをサンプリングしている、 というこだわりよう 更に、主人公たちの影に押されてはいるけれども彼女たちの戦闘の援護を行う戦艦も実在したものばかり 各国が協力して、外敵に当たっているので、 実際には並ぶことがない組み合わせで陣を組んでいるのでミリオタさんにも喜んでいただける内容なわけです んで、なんでまたブログに書いたかっていうと2期6話がすごーく神話で感動したのです これちょっとジェレルルに置き換えてみようか、というわけで以下ジェレルルパロです でもあくまでネタなんで、そこのとこご注意を 基本的な用語 ・ネウロイ=外敵 何故か、この世界の兵器や戦闘機を模している 弱点のコアを叩かないと倒せず、またコアを攻撃できるほどの火力はウィッチにしかない ・ジェレミアの元キャラは未来予知の能力があり、 これまでに被弾したことは一度もない 疑問に思っても、全ては魔法だから、で片付けてください 格好は従来の格好です 別にパンツ云々とかじゃないです グランドピアノが置かれても、まだ遥かに余裕がある広さの談話室には、今チョークが走る音だけが響いている。黒板に書き連ねられている図形は、今回の作戦概要だろう。他にも注釈として数字や文言が書き込まれている。何度目かの注釈を書き込むと、ルルーシュは黒板に背を向けた。
正式なブリーフィングではないので、隊員には和やかな雰囲気がある。手元には飲み物が置かれ、ソファーに腰掛ける様子にも、緊張感は伺えない。背筋を伸ばしている者がいれば、あぐらをかいている者、更に一人用のソファーに座ったのをいいことに、肘掛の間に寝そべっている者もいるくらいだ。 ルルーシュの元、ネウロイ撃退に日夜勤しむこの小隊は、オンオフのスイッチが非常に明確だ。 作戦ともなれば隊長のルルーシュの指揮に従い、数々の武勲をあげている。勲章を貰っている者は複数おり、その者のなかには勲章が一つではない者すらいる。この小隊はばエリート中のエリート。対ネウロイに関してのエキスパートと言ってもいい。 そんな緊張感を背負っているせいか、それとも彼らの素の行動によるものなのか。オフの彼らは非常に雑だ。始めはそんな規律を正そうと奔走していた者たちも次第に諦め、今ではルルーシュですらため息をつくだけで何も口に出さないくらいだ。しかし、態度はどうあれ、作戦に関することなら多少は真面目に聞いているということも、長い付き合いからルルーシュは知っていた。そのため、振り向き黒板に背を向けたルルーシュはそんな彼らを睥睨しただけで態度を改めるように命じることはない。ただ伝えるべきことを伝えるだけだと、口を開いて、沈黙を破る。 「さて、今回敵のコアは高度33,333mの成層圏にあると発覚した。当然、空気もない場所だ。魔力による生命維持が作戦には不可欠なものとなる。また、私たちの自律飛行限界高度より遥かに高位にある高度なため、本作戦ではブースターを使用することになる。このブースターは多大な推進力を得る反面、魔力を大量に消費する。そのため飛行時間は極めて短くなる。よって、直接攻撃をする者とその補助の一名を除いた者たちで、上空まで運んでもらうことになる」 そこで一度話を止めた。談話室に集まった者たちはある者は姿勢を正し、またある者は伸びやかに隊長であるルルーシュの話を聞いている。姿勢はどうあれ、皆が話を理解したと確認して、彼は再度口を開いた。 「そのため、攻撃役には爆発的火力かつ広範囲に渡っての攻撃が出来るものでなければならない。よって、この二名のうち私が攻撃手を務める。私の補助を務めるもう一人は…」 「ならばそのお役目、是非私に!」 彼の説明を遮り、勢い良く挙げられた手はルルーシュを敬愛するジェレミアのものだった。彼からすれば自分が立候補するのは当然のことだと信じて疑わない。ルルーシュ様を守るのは私でなくてはならない、私こそが相応しいのだ。ジェレミアの思いは誰にも負けないと誇っている。後ろから、出遅れたロロがそれを恨みがましげに睨んでいることにはついぞ気づいていない。 普段なら、ルルーシュは許しただろう。ジェレミアの未来予知の力を彼はかなり信頼している。それに助けられたことは数限りなく、彼は表には表さないものの、恩人だとも感じていたのだから。だが、ルルーシュの反応は違ったものだった。 「なるほど。しかしジェレミア卿、貴公シールドは張ったことはあるのか?」 「シールドですか?私、自慢ではありませんがそういった脆弱なものに頼ったことなど一度もありませんので」 「なら、無理だな」 「そう、無理でって何ですと!?」 意気揚々と掲げた腕を振り下ろし、その勢いのまま立ち上がって抗議するジェレミア。彼がルルーシュに食って掛かるなど珍しい光景で、他の隊員も興味深そうに出来事を見守っている。 ジェレミアにとってみれば、ルルーシュが自分の知らないところで敵と戦うというのは、想定していない。自分の命がある限り、必ずルルーシュ様のお側で彼をお守りする。これはジェレミアの信条と言っても良かった。その信条は、これまでルルーシュに護衛を頼まれこそすれ、断られたことがない事情にもよる。しかし、ルルーシュから初めて突きつけられたNO。想像もしなかった事態に思わずジェレミアが守るべき相手に食ってかかったのも仕方ないのかも知れない。ルルーシュは嘆息すると、ジェレミアの無礼な態度を咎めもせずに淡々と話始めた。 「今回の作戦はブースターを使用し、空気もない極限環境ゆえ己の生命維持に魔力の大半が注がれる。その上、私はミサイルの射出にも魔力を回さなければいけない。そうなると、自分のシールドを張る余力がないのだ。誰かにシールドを張ってもらわねば、敵の攻撃から身を守れない。わかるだろう?」 「ですが、私はシールドを貼れないわけでは!」 「だが実戦で使ったことはない」 「……その通り、です」 「つまり、無理だということだ……本作戦で私とペアを組むのは、最大のシールドを張れるスザクとなる。スザク、異議はないな?」 縋りつくように眉尻を垂れ下げるジェレミアにそれ以上構うこと無く、ルルーシュは隊長として話を続けた。突如矛先を向けられたスザクは若干の躊躇いを見せること無く、頷いて見せた。その堂々とした態度には、部隊のエースとしての貫禄すら感じさせた。 「問題ないよ」 「では作戦の詳細は後日ブリーフィングルームで説明しよう。今日は以上だ」 ジェレミアが打ちひしがれている間に、ルルーシュは話を纏めてしまった。誰かが席を立つ音で我に返った彼は、早速ルルーシュに直談判をしようと足を踏み出しかけた。けれども、それを察知したのか単なる偶然か、ルルーシュはスザクに何やら話しかけてしまった。どうやら今度の作戦に関する話のようで、遠巻きに見るジェレミアにも二人の真剣さが伝わってきた。とても入り込める雰囲気ではない。 悔しげに表情を歪めた。だが、すぐさま彼の脳裏に閃いたことがある。こうなれば、善は急げとばかりに談話室の出口に向かっていたロロへと足早に近づいた。 「ロロ、少しよいか?」 訝しげな表情を浮かべたものの特に断る理由もないのか、ロロは首を縦に振る。それを見たジェレミアは満足気に笑うと、彼を伴い部屋を出て行った。ちらりと向けられたルルーシュの視線には気づかずに。 談話室を出た途端、ジェレミアは足早にどこかへと向かっていった。人気の少ない方へと向かっているのは、あまり人には聞かれたくない話だからなのだろう。ロロは面倒くさそうな事態になりそうだと、僅かに眉をしかめた。これなら断って兄さんの肩を揉んであげるべきだった。先程の自分の決断に後悔し始めた彼の視界から、ジェレミアが消えた。廊下を曲がったのだ。なんの気なしにその後に続いて角を曲がった途端、ジェレミアにまだ細いロロの肩を掴まれた。予想もしなかった動きに、咄嗟に対応できず、掴まれるままだ。その力は痛いほど掴むというよりは握るに近い。痛みでロロの顔が歪む。何のつもりかと睨んでみたものの、ジェレミアの表情はかつてないほどに真面目なものだった。特に自分への嫌がらせというわけでもないらしい、と判断したロロは腕を離すよりもまず事情を問うことにした。 「ちょっとジェレミアさん、痛いですよ」 「頼むロロ!少し私に付き合ってくれ」 「痛いですって!」 「本来なら誰の力も借りたくはないのだが、そうも言ってられない。頼む、この通りだ!」 「まず手を離してください!」 「手を離したら、私と付き合ってもらえるか?」 「どうしてそうなるんですか!」 「ならば私はこの手を離すわけにはいかぬ、貴殿が応と言わぬのなら!」 「脅迫ですか、卑怯ですよジェレミアさん!痛い痛い痛い!」 「何とでも言え、私はルルーシュ様のためならばどんな誹りを受けようとも構わぬ」 「わかりました、わかりましたから!」 事情を聞くはずが、気がつけば次第に強くなる手の力で説得されていた。またもどこぞへと足を進めるジェレミアの後ろをロロは渋々と着いて行った。関わるんじゃなかったと、先程よりも激しい後悔を抱きながら。 それから少しして、訓練場の上空に三つの人影が浮かんでいた。一人は不安そうに、一人は決意を秘めた表情で、残る一人はひどく嬉しそうな笑みを浮かべている。 「お願いしますよジェレミアさん。ちゃんと守って下さいね!絶対ですよ!」 「わかっている」 「僕を兄さんだと思って守ってくださいよ!」 「貴公がルルーシュ様か……ロイド、やってくれ」 「んふふーじゃあ遠慮なくー」 対戦車用ライフルをいとも簡単に構えたロイドは躊躇なく引き金を引いた。弾丸は一直線にジェレミアに向かう。後方射撃を担当するロイドの狙いは正確この上ない。いつものように避けなければ、弾はロロを庇うジェレミアの体を貫くだろう。避けてはいけない、シールドを展開しなければならない。ジェレミアの脳裏にはその思いでいっぱいだった。そして彼はシールドを展開しようと手に魔力を込める。魔力が固まり、実体のシールドとなって彼らの身を守る、そのはずだった。だが気がつけば、ジェレミアの体が動いていた。自分の身を弾丸から守るため、背後の者がいることなど気にも止めずに体は動いてしまった。 ロロの前から盾が消えた。それを認識したかしないかのうちにロロは慌ててシールドを展開する。弾丸がそのシールドに着弾したのは、彼の目前だった。全ては一瞬のことだった。 あまりのことに、ロロは戦慄くだけで言葉が出ない。少しでもタイミングが遅れれば、弾は自分の顔を貫いていただろう。これには流石のジェレミアも、やってしまったとしか言いようのない表情を浮かべた。 「な、な…」 「すまない。その、悪気はないのだ。悪気は」 慌てて付け足した言葉も、今のロロには煽るようにしか聞こえない。ようやく衝撃から立ち直ったロロは反動で、これまでにない怒りを見せた。 「わざとだったらどうしようもないですよ!そもそもどうして避けるんですか!何のための訓練だと思ってるんですか!?」 「勿論シールドを貼る訓練だとも!ただ貴殿はとてもルルーシュ様の代わりとは思えず、どうにも本気になれないだけで」 なまじ本気で言っているだけたちが悪いよねぇ。インカムを通じて会話を聞いていたロイドは、己も当事者にも関わらず冷静に分析する。この男には、あわや味方殺しになりかけた恐怖というものを期待する方が間違っている。 「……馬鹿にしているんですか!貴方は!ロイドさん、次お願いします!」 「はいよー」 引き金に手をかけながら、これは長くなりそうだとロイドは他人事のように思った。 それから暫くして、ジェレミアはため息をつきながら自室へと戻ってきた。あれからどれだけ特訓という名の狙撃を重ねても、どうしても反射的に身を逸らしてしまうのだ。避けたくて避けているわけではない。シールドを貼ろうと直前まで意識していても、いざとなると体が動いてしまうのだ。 急な召集でまだインフラを整えるのが精一杯の司令部では、個室など望めない。ジェレミアは彼にとって畏れ多いことにルルーシュと部屋が共同であった。いつもなら嬉しくて幸福感に溢れるその部屋も、何だか気まずさを覚えてしまう。再度ため息をついて足を踏み入れると何やら違和感があった。部屋を出たときにはなかったものが増えている。椅子の上に、ジェレミアのコートが掛けられていたのだ。 「これは……」 「今出したんだ。成層圏は寒いしな」 「そうですね、これを使うのも随分の久しぶりかと」 「ああ。……おかえり、ジェレミア」 クローゼットから何かを取り出していたルルーシュが、ジェレミアの声に顔を覗かせる。 労うルルーシュは先程見せていた隊長としての顔ではなく、一個人のものだ。普段ならその私生活の表情を自分に見せてもらえるのは嬉しくてたまらないジェレミアだったが、今は真正面から見れそうもなかった。さりげなさを装って視線をずらした。そのため、不可解げに寄せられたルルーシュの眉根の皺にも当然気づかない。 「それで、どうだった?ロロとの特訓は」 「ご、ご存知でしたか」 「まあな。うまく出来たか?」 「いえ、その、駄目でした」 「そうか……」 気まずい沈黙を打ち壊すように視線をさまよわせたジェレミアは、ルルーシュの腕に掛けられていたマフラーに気がついた。青いものと赤いもの、そして白いものと三本ある。二つならまだしも、何故三つなのだろうかと頭を捻る。 「随分沢山マフラーをお持ちになるのですね」 「いや、これは俺とお前と、あと一つはスザクの分だ」 「く、枢木のですって!?」 「ああ。あいつは着の身着のままで来たから、マフラーなんて持ってないしな」 こんな時に、よりにもよってあいつの名前など聞きたくなかった。ジェレミアは八つ当たりとしか言えない腹立たしさを覚える。今の彼には、幼馴染みに対するルルーシュの気遣いすら、自分へのあてつけに思えた。そのため、続いた彼の言葉も素直に受け取ることができなかった。 「お前も張れるようになるといいな、シールド」 「無理です……」 「え?」 「やはり、慣れないことはするものではありませんね」 「……ジェレミア、お前諦めるのか?」 「出来ないことをいくら努力しても、仕方のないことです」 「出来ないからといって、諦めたら駄目だ。諦めるから出来ないんだ」 「っでは!うまく出来る枢木に守ってもらえばいいではありませんか!彼のシールド技術は一流です、私なんかよりもずっと!」 「この馬鹿が!」 「ルルーシュ様は分からず屋です!」 そこでジェレミアの言葉を遮らせたのは、飛んできた枕だった。ルルーシュお気に入りの黒い枕。こだわってジェレミアが注文した赤のワンポイントに肌触りのいいベルベットのものだ。その感触が肌を優しく滑り、頭に上っていた血を引かせる。 私はルルーシュ様になんてことを! 一転して己の行動を猛省し、すぐさま謝罪しようとするジェレミアの目に写ったルルーシュは、ひどく憤っているようだった。眉は釣り上がり、まるで敵を見据えるように、自分をジェレミアを睨みつけている。頬は赤く染まっていて、普段の青白いまでの顔色とのギャップが際立っていた。 ジェレミアは、開いた口を窄める。ルルーシュの形相に慄いたわけではない。怒りを恐れたわけでもない。ただ、ルルーシュの瞳の奥に、傷付いた彼の心が見えたような気がしたのだ。今ここで謝れば、その心は更に傷つくように思えた。確信はなかった。けれども、ジェレミアは自分の行いへの後悔に身を苛まれながらも謝罪の言葉を口にせず、ただルルーシュを見つめた。 ルルーシュは暫しジェレミアを睨みつけたが、彼が何も言わないことにしびれを切らしたのか苛立たしげに部屋を出て行く。次第に遠ざかる足音は、いつもの彼らしく無く荒っぽいものだった。 一人残されたジェレミアは、床に落ちた枕を拾い上げる。なんの気なしにそれを抱きしめたものの、ルルーシュの温もりなどなかった。 一方飛び出したルルーシュは、部屋から遠く離れたサロンで香茶を飲んでいた。相変わらず眉根は中央に寄っているものの、目付きの鋭さは消えている。見る人が見れば、普段どおりのルルーシュだった。 ガラスの外は真っ暗闇で、テーブルの上に置かれた燭台によってささやかな光が辺りを照らしている。廊下の一角にあるこのサロンは、昼間こそ訓練を終えた隊員たちで賑わうが、こうして日が沈んだ今の時間にわざわざ訪れるもの好きは大変少ない。 しかし、そんな人気のない場所であるというのに、ルルーシュの背後から足音が聞こえてきた。その足音の人物は迷うこと無くサロンに足を踏み入れ、ルルーシュの元へと向かう。明かりが灯っているから寄ってみた、というように足取りに躊躇があるわけでもなく、明らかにルルーシュに用事があるような足取りだ。 それに対してルルーシュは何の反応も見せない。どこか遠くを見ながら、カップを傾けている。随分と中身の減った香茶がルルーシュの唇に触れるか触れないかといった時、ふいにその存在が消え去った。 視界を通りすぎていくカップ、急に軽くなった右手。ルルーシュはため息を零すと、顔を上へと傾けた。 そこには、イタズラが成功した子供のように目を細めているスザクがカップを傾けていた。 「珍しく凹んでいるね?」 「からかうなら他所でやってくれ」 「慰めに来たんだよ」 「どうだかな……」 「作戦だから、って割り切ればいいじゃないか」 「わかっている」 「……俺じゃ信用できない?」 「そんなわけないだろう。お前は俺の親友だし、何よりこの部隊のエースなんだぞ?お前以上に頼れる奴がいるか」 しかし、その声の調子はどことなくうつろだ。 「それは、隊長としてかい?それとも、一個人として?」 「……狡い聞き方をするな」 おどけて笑うスザクを睨むと、ルルーシュは手のひらで顔を覆う。それを見て、スザクは口を噤み背中を軽く撫で叩く。 「大丈夫、彼のようにはうまくいかないかもしれないけど、君の背中は守るよ」 スザクのなす我儘に身を任せていたルルーシュは、暫くの沈黙のあとそっと呟いた。 「是非そうしてくれ」 【翌日、作戦決行。作戦説明の際のルルーシュの声がバックで流れつつ、隊員が成層圏へと発射されている】 「作戦はまず、五人からなる第一打ち上げ班により通常動力によって高度一万メートルまで上昇。 限界高度1万メートルに到達後第一打ち上げ班は離脱。 第二打ち上げ班は速やかにロケットブースターに点火。 私と枢木両名の突撃班を高度二万メートルまで打ち上げる。 その後両名はブースターに点火。 ネウロイのコアがある高度33333メートルを目指し更に上昇。 弾道飛行に移りネウロイのコアへ向かう」 「時間です!」 ロロの声を合図に、ジェレミアを始めとした第二打ち上げ班も離脱する。ブースターに点火したルルーシュとスザクは、みるみるうちに遠ざかっていく。 ルルーシュはただ上だけを見ている。彼にとって作戦はまだ前哨戦で、成層圏に入ってからが本番なのだ。ここで任務を終え、地上に帰還するだけのジェレミアたちを気にする道理もない。 けれど、ジェレミアの脳裏には作戦説明の際にロイドが漏らした一言がこびりついて離れなかった。 「生きて帰れる保証はないねー」 下手をすれば今生の別れになるかも知れぬというのに、ただルルーシュを見送ることしか出来ない自分が不甲斐なかった。悔しさから、ジェレミアの眉間に皺が寄った。その間にもルルーシュ達は遠ざかる。顔が判別できるかできないか、それくらいの距離が開いていた。彼の黒髪が猛烈な風を受けてたなびいている。これほどまでに、彼の髪を切なく思えたことなど、ジェレミアにはなかった。 その時、ジェレミアの熱烈な気持ちが通じたのかルルーシュがこちらを振り向いたように見えた。勿論、距離があるため、はっきりと見えたわけではない。けれど、僅かに白い彼の顔がこちらを向いた気がしてならなかった。ジェレミアの胸が焦燥に駆り立てられる。ルルーシュ様と二度とお会いできないかもしれないのに、私は安寧と地上で帰りをお待ちするだけでいいのか? 否! 「嫌だ!」 「ジェレミアさん!?」 横にいたロロが、ジェレミアの行動に驚いた声を上げる。ブースターに点火し空へ登っているルルーシュたちに追いつこうと、ジェレミアは必死で腕を伸ばす。その思いに反応し、魔法力が動力へと変換され、彼らに遅れてジェレミアも空へと登る。 「ジェレミア、お前何している!」 インカムを通じて、下で何が起こっているのかを理解したルルーシュは驚愕の声を上げた. 「ルルーシュ様は仰ったではありませんか!諦めたら何もできないと!ですから私は諦めたくない!私がルルーシュ様を守ります!」 けれど、その速度は彼らに比べると余りにも遅い。差は開く一方で、手は届かない。それでもジェレミアは手を伸ばし続ける。彼は諦めなかった。その手に希望の手が伸びる。 「枢木……」 「行きましょう、ジェレミアさん」 高度を下げたスザクがジェレミアの手を掴む。ブースターの火力を強めて推進力を上げ、そのまま彼の体を引っ張り上げルルーシュの元まで彼を届けた。ルルーシュの手が届く位置まで来ると、ルルーシュは自ら手を伸ばしてジェレミアをその胸に抱きとめた。 「やめてください、帰れなくなりますよ!」 「俺が、届ける」 静止の声を上げたロロや不安そうに見上げていた隊員の耳に、インカムを通じてルルーシュの声が響く。それは隊長としてのものではない、一個人のものだった。 「二人で生きて戻る。だから……」 「ルルーシュ様……?」 ルルーシュの手で抱かれ、彼のブースターの推進力に身を任せていたジェレミアは、彼のその言葉に目を見張った。 馬鹿なことをするな、と一蹴し叱責されるものとばかり思っていた。すぐに戻れと命じされるものだとばかり。 眉尻が垂れ下がりこの事態に困惑しているようだが、それでも、ルルーシュはほのかに口もとを綻ばせていて、怒りの気配は伺えない。 爆発的な推進力を得た反面、燃料を使い果たしてしまったスザクがゆっくりと速度を落としていく。自身に振られた役割を果たせずにいるというのに、けれどもその表情はひどく満足気だった。 これまで敵視していた相手からの行為に、ジェレミアは戸惑う。自分の行為は作戦を妨げるものでしかないはずなのに、何故枢木は自分を助けてくれたのだろうか。そして何故ルルーシュ様は私だけでなく、枢木も叱責しないのだろうか。 わからないことだらけだったが、こうしてルルーシュと生死を共に出来るのならば何だっていい。ジェレミアは思い直し、ルルーシュの身を守ることだけに集中した。 【成層圏に無事到達した二人、ネウロイの攻撃にジェレミアがシールドを展開する 驚いた表情でジェレミアを見つめるルルーシュ 必死なジェレミアはシールドを展開するのにいっぱいいっぱい 敵の攻撃が弱まった隙にルルーシュが攻撃して、敵を倒すことに成功した】 「 」 空気もない成層圏。ジェレミアが喋った何かも音にならず、そのことにジェレミアは軽く驚く。ルルーシュはジェレミアを抱き寄せ、頬を合わせた。こうすることで、骨の振動を通して彼の声が聞こえた。普段なら畏れ多いとジェレミアが恐縮しそうな行為も、極限状態に置かれているためか、ルルーシュの為すがままにされている。 「申し訳ありませんでした」 「いや、俺も……すまなかった」 ゆっくりと佇む二人の前では、地球が青々とした美しさを見せている。しかしその一部に黒く淀んだ地域がある。ネウロイの攻撃を受け、瘴気に侵されたブリタニアだった。あの瘴気に触れれば、いくら魔法力を持った人間といえど無事ではすまない。ましてや普通の人間など、まともに暮らせていけるわけもない。ブリタニアは今や無人の国と化していた。 「あれは……ブリタニアだ。あの国でナナリーと平和に暮らしていたのに……。このまま、ブリタニアに降りようか……」 それは、自殺行為でしかない。ましてや、燃料の切れたジェレミアはルルーシュに抱かれながらでないと地上に降下できないのだ。ルルーシュが本気でブリタニアに行きたいと動いたら、運命を共にするしか無い。けれどもジェレミアは、反対などしなかった。 「……構いません、ルルーシュ様と共にいられるのならば、私はどこにだって」 感極まったジェレミアの流した涙が漂い、ルルーシュの頬に当たる。久しぶりに見た故郷の姿から郷愁に駆られた故に考えもしていなかった発言をしてしまったルルーシュだったが、頬に当たった涙の冷たさで我に帰り、静かに涙を零すジェレミアに気がついた。 「……嘘だよ。帰ろう、今の俺達には帰る場所があるんだ」 僅かに残っていたブースターに点火し、降下するための推進力を得たルルーシュ。ジェレミアを強く抱き締め、自分たちを待つ人達の元へとゆっくりと向かい始めた。 PR |
|
忍者ブログ [PR] |